初お目見え


 私が初めて人様の前でロックを演奏したのは、もうかれこれ30数年以上前の、そう、1971年の暮れか72年初頭の寒い時期で、高校1年生の時代にまで遡ります。ですから、前項の「高校生初バンド」と、時期的にほぼ同じ頃だったのかも知れません。
 そんな昔の事ですから、じつのところ、あまり良く覚えていないのですが、以前このコーナーに登場したK藤くんと、当時既に天才ベーシストの誉れ高かったO友さんとの3ピースバンドでした。

 このバンド(と呼ぶには、あまりにも短期間の活動でしたが..苦笑)が結成された[いきさつ]等は、もう既に忘却の彼方…となってしまいましたが、当時、そのO友さんと、K藤くんのお兄さんであるM雄さんとが同学年だったので、そんな関係でK藤くんとO友さんとが知り合い、急接近して結成されたようです。

 O友さんは、先にも書きましたが、当時既に地元では「天才ベーシスト」と呼ばれていて、私たちのような年下の…しかも駆け出しで下手クソな連中…と一緒に演奏するなど、誰も思っても見なかった事でしょう。
 現に私自身、O友さんと演奏できるとは夢にも思いませんでしたし、実際一緒に練習するようになっても、頭の中は真っ白で、恥ずかしい事に、練習中何をやっていたのか殆ど覚えていないのですから(苦笑)。ただ、さすがに「O友さんと演奏できる」ってんで無我夢中で練習はしましたっけ。

 当時練習していた曲は、フラワートラベリングバンドSATORI(サトリ)とかで、この曲は、彼等の曲の中でも傑作とか言われていましたが、今思えばじつに暗く重い曲でしたね。
 フラワートラベリングバンドは、あの内田裕也氏が創設したバンド「フラワーズ」が母体となって、後に、彼の角川映画「人間の証明」のテーマソングを歌ったジョー山中氏が加入して「フラワートラベリングバンド」となり、人気を博した元祖
(とも言える)和製ロックバンドです。確か、日本のロックバンドとして初めて海外進出をも果たした(カナダだったかな?)バンドでもありました。

 そのフラワートラベリングバンドのライヴを、新宿のサンダーバードで見て、歓喜に打ち震えて帰って来たK藤くんが「SATORIを演りたい!」と言って、このバンドの演奏曲になってしまった…のかどうかは、もう昔の事ですので、バンド結成が先だったのか、このライヴを見たのが先だったのか、定かではありません。けれども、そのライヴは、K藤くんにスゴい衝撃を与えたようでした。

 さて、何度かこの3人で練習をした段階で、演奏の話が持ち上がりました。しかも、驚いたことに、それはラジオ出演の話でした。とは言え、依頼された訳ではなく、こちらから誰かが応募したようで、地元地方局のSBCラジオの公開生放送だったのです。

まだ人前で演奏したことなど殆ど無かった私にとって
これは一大事でした。

 会場は、当時本町通りと中町通りの交差点にあった、カワイ楽器のビルの4階か5階のカワイホールで、確か100人ほどの観客が入れるホールでしたが、観客はまばらで、ラジオ収録のための機材が妙に目立っていたのを覚えています。
 出演バンドは、私たちの他に5バンドほどで、ロックバンドは私等だけだったようでした。と言うより、殆ど覚えていません(苦笑)。じつは、演奏前にバンド内で揉め事がありまして、それで他のバンドの演奏を見るどころの状況ではなかったのです。
 その揉め事と言うのは

「誰がギターを弾くか」

と言う、普通のバンドでは考えられない(普通でなくても考えられない)事だったのです。
 いやいや、言い出しっぺは私ぢゃないっすよ〜! いくら以前「ギター小僧」だったからって、初舞台でいきなりギターを弾ける筈無いですから。

 そもそもの発端は、普段ベーシストの筈のO友さんが言った「今回は俺にギターを弾かせろ」だったのです。確かに、練習の時にも、遊びでギターとベースが入れ替わったり…はしていましたが、まさか、公開の場で入れ替わる事など考えもしなかった私等(私とK藤くん)は、さすがに度肝を抜かれました。
 何度か押し問答の末、話し合いでは解決しないとなるや、何と、出番直前の「じゃんけん」で決める事に(苦笑)。その「じゃんけん」でO友さんが勝ってしまったからさぁ大変。結局、ギターとベースが入れ替わって本番演奏となってしまったのでした。

 まぁ、結果的には、どちらに転んでも「あまり良い演奏はできなかったでしょう」から、どっちがギターを弾いても良かったのかも知れませんが、私にとっては、この揉め事があったお蔭?で、全くステージ上でアガることも無く演奏できたので、結果オーライだったのかもしれません(笑)。

 この演奏後、バンドは空中分解してしまいました。
また、私自身この後、今の今までステージ上でアガる事は無くなってしまいました。

(2005.11/11)


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