叩き始め


 前頁に書いたように、私が初めて手にした楽器は、学校の音楽の時間に手にした楽器を除けば、ソリッドギターが初めてでしたが、何故ドラムを叩く事になったのか、また、その時期はいつ頃だったのか、私自身じつはあまり覚えていません(苦笑)。
 後々、初めてグループを結成する頃には、自宅には既にドラムセットがありましたから、結成直前に「ジャンケン」で決まってしまった…という世間一般に私が公表している逸話…は、今となってみると疑わしいんですよね。

 では一体いつ頃だったのか? ・・多分、K藤氏とアドリブを考案していた頃、2人の間で何らかの取り決めがあったのか、自らギターを弾く事を諦めてしまったのか、それとも、ここでジャンケンしたのか、どちらにせよ、私はこの頃からドラムを叩こうとしていたようです。
 K藤氏のお兄さんに「ドラムの叩き方」を尋ねた事もあったように、微かに記憶していますから。まぁ教えては貰えなかったんですけどね(笑)。

 はじめは、見よう見真似でスティックを自ら削り出し、その2本で好き勝手に叩いていました。何故スティックを買わずに自作したのか?…と言えば、ドラムが叩けもしないのに、楽器店でそれを尤もらしい顔をして買うのが嫌だったからに外ありません。若い頃の私は(今でもそうですが)負けん気が強く、自己顕示欲の固まりだったからでしょう。
 で、勿論ドラムセットがあった訳ではないですから、テーブルや椅子、座布団や本など、ありとあらゆる物を叩きましたね。もちろん曲を聴きながらですけど…。
 結局、椅子に座って膝上辺りを叩くのが一番良いのでは?…と気付き、暇さえあれば、そこが真っ赤に腫れ上がるまで叩いたものです。

 そんな練習(?)が半年…いや1年程も続いたでしょうか。中学2年の年末、母から「誕生日のプレゼントに何が欲しい?」と問われたんです。且つて1度も「誕生日のプレゼント」なる物を貰った覚えの無い私は、ただモジモジしていました。
 当時我が家は、母が夜の仕事に勤め始めて、いくらか安定した収入を得るようになってはいたものの、まだまだ貧乏を絵に描いたような生活状況でした。ようやくステレオやカラーTVを購入したばかりでしたし。。
 ところが、その直後の母の言葉に、私は仰天しました。

「じゃぁ、ドラム買ってやろ!」

だったのです。
 低い生活水準は勿論の事、なぜ私が『ドラムを欲しがっていると解ったんだろう?』でした。スティックを振り回している姿など、それまで母には見せた事はありませんでしたし、音楽は聴いていましたが、ドラムという言葉さえおくびにも出した覚えは無かったのです。
 しかも、続けて

「息子の事なんか何でも判ってるのさ!」

とあっさり言われ、私はグウの音も出ませんでした。

ん? も…もしかして、アレもコレも…
あんな事もそんな事も、みんなご存知だったの??

(2004.9/7)


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