今回から、このMY FAVORITEのコーナーでは、私自身のお気に入りのアルバムを紹介して行こうと思います。

初回である今回は、ザ・バンドのデビューアルバム“Music From Big Pink”をご紹介しましす。
ザ・バンドと言えば、当時のロックファンなら誰もが知っているバンドですが、知らない人のために少々説明しておきましょう。
メンバーはレヴォン・ヘルム(1942年5月26日アメリカのアーカンソー州生まれ)、ロビー・ロバートソン(1944年7月5日カナダのトロント生まれ)、リック・ダンコ(1943年12月9日カナダのオンタリオ州生まれ)、ガース・ハドソン(1943年8月2日、カナダ・ウォーカーヴィル生まれ)、リチャード・マニュエル(1944年4月3日、カナダ・オンタリオ州生まれ)の5人で、彼らは元々ロビー・ホーキンス(Ronnie Hawkins)というロックンローラーのバック・バンド"ザ・ホークス(The Hawks)"のメンバーで、レヴォンが1958年に加入後、59年にはロビーが、60年にはリックが、また61年にはガースが、さらに62年にはリチャードが相次いで加入し、ザ・バンドの原型が出来上がりました。
63年にはロビー・ホーキンスの元を離れ、レヴォン&ホークスとして独立し、カナダのトロントを拠点としてアメリカ東海岸で活動していましたが、ジョン・ハモンドJrと出逢い、ニューヨークで彼の作品“So Many Roads”のレコーディングに参加。そのジョンの紹介であのボブ・ディランと行動を共にすることになります。
1965年頃、ディランはフォークからロックへ移行しようとしており、ファンから罵声を浴びせられていた時期だったのですが、ホークスはディランと多くのセッションを重ね、その後、正式にディランのバックバンドとして欧米ツアーを行い、“ブロンド・オン・ブロンド”のレコーディングにも参加しました。
ところが1966年7月、ボブ・ディランがバイク事故に遭い、その退院後のリハビリを兼ねて、当時ニューヨーク郊外のウッドストックにあった家“ビックピンク”でホークスのメンバーと共同生活を送ることになります。
そのビックピンクの地下スタジオで収録され、1968年7月に発表されたのが、この“ミュージック・フロム・ビックピンク(Music From Big Pink)”なのです。
ザ・バンドのバンド名は、このビックピンク周辺の人達が、単に「あのバンド」とか呼んでいたから…と言われていて、ならば“ザ・ホークス”から“ザ・バンド”にしてしまおうって、案外安直な改名だったようです。
さて、この“Music From Big Pink”ですが、私が初めて聴いたのは高校最後の年でした。とは言っても、実際アルバムを購入したのは、その約2年後位だったと思いますが、当時、あの半分ファルセット声で歌っていた…かのような“I Shall Be Released”は、妙に耳に残ってしまいました。
この曲は、簡単なコードで演奏しやすかったこともあって、私の周りのバンドと言うバンドは必ずと言って良いほど一度は必ず演奏していましたし、また、大勢の演奏者が集まるセッションなどでは、必ず最後にこの曲でシメるのが暗黙の了解みたいなものでしたっけ。
けれども、当時はこの曲の意味を誰も解らずに演奏していました。
レスリースピーカーをギターで使った気怠いイントロから始まる1曲目の“Tears of Rage”、トレモロをかけたギターで始まる2曲目の“To Kingdom Come”、チェンバロ風のピアノから始まる“In A Station”と、曲の始まりは皆違っても、すべて「疲れた男」を感じさせる曲ばかり。
それより何より、ザ・バンドの曲は歌詞が奥深い。これはディランの影響によるところが大きいのかもしれないのですが、一度読んだくらいでは、なかなか意味が理解できないのです。もちろん、ディランも“Tears of Rage”と“This Wheel's On Fire”、そして“I Shall Be Released”の3曲を提供していますが、彼らの曲は「聴く時によって、聴く人によって、受け取る意味が違ってくる」のが最大の魅力なのでしょう。
私の場合、もともとアメリカン・ロックが好きだったのですが、The BANDのこの“Music From Big Pink”に出逢ってからと言うもの、さらにアメリカン・ミュージックの深みにハマり込んでしまいました。
それは、その後聴き漁ることになる「牧歌的」なウェストコースト・サウンドであったり、南部の泥臭いブルースロックであったり、都会的なイーストコースト・サウンドであったり、強烈なリズムのベイエリア・サウンドであったり…と、私自身の音楽の肥となって行ったのでした。
“Music From Big Pink”それは、私にとってアメリカン・サウンドのルーツなのかも知れません。
A-1. Tears Of Rage
A-2. To Kingdom Come
A-3. In A Station
A-4. Caledonia Mission
A-5. The Weight
B-1. We Can Talk
B-2. Long Black Veil
B-3. Chest Fever
B-4. lonesome Suzie
B-5. This Wheel's On Fire
B-6. I Shall Be Released
*因みにジャケットはディランが描いた絵です。







